絶滅危惧種 ヤンバルクイナ の生態系や直面している危機

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 絶滅危惧種 ヤンバルクイナ はどんな鳥?

2021年の7月、やんばる(沖縄本島の北部)を含む奄美大島・徳之島・西表島が世界遺産に認定され、世界中から注目を集めています。

ヤンバルクイナはそんなやんばるエリアに生息する天然記念物であり、絶滅危惧種でもある大変希少な鳥です。

 ヤンバルクイナ のフォルムはギャップが魅力!?

ヤンバルクイナは全長約30cm程の鳥で、うずらのようにコロンとした丸いフォルム、背中は暗いオリーブ色で胸には白と黒のしましま模様があります。

黒い顔に映える赤い目とくちばしが特徴的で、同じ色をした脚は、かわいらしいフォルムとは反対にとても強そうです。

ヤンバルクイナの羽は退化しており、空を飛ぶことはできません。

その代わり、ヤンバルクイナの丈夫な脚は地面の上をおよそ時速40キロの速さで走ることができます。

 ヤンバルクイナ は木を登る!?

ヤンバルクイナは雑食なので、虫や木の実、両生類などを食べて暮らしています。

水辺の近くの地上に枯草などで巣を作りますが、夜は天敵のハブに狙われないように木の枝に登って眠ります。

あのコロンとしたフォルムで木登りが得意なのは意外ですよね。

 ヤンバルクイナ の鳴き声は?

ヤンバルクイナは鳴き声も大きく、夕方には「キョキョキョキョキョキョー!」と大きな声で鳴きます。

また5月~7月の繁殖期には「クリリーヤ!」と元気に鳴く声が聞こえるそうですよ。

 ヤンバルクイナ の名前の由来

1981年、沖縄北部の大宜味村・国頭村・東村の「やんばる」と呼ばれるエリアで新種の鳥が発見されました。それがヤンバルクイナです。

ヤンバルクイナはこの名前に決まる前、候補としていくつかの名前がありました。

「ヤンバルフミル」(フミルはバンの地方名だそうです)や、当時「やんばる」という呼称が普及していなかったこともあり「オキナワクイナ」という名前が候補に挙がったようです。

ですが、やんばるにしか住むことのできない希少な鳥であるヤンバルクイナの保護には、やんばるに住む現地の人々の理解や手助けがとても重要でした。

そういった思いから「ヤンバルクイナ」と名づけられた鳥は、やんばるの守るべき大切な命として地元の人々に今も大切にされています。

なぜ ヤンバルクイナ は絶滅危惧種になったのか?

ヤンバルクイナは沖縄県の北部、やんんばるの森にしか住んでいません。

世界中、どこを探しても彼らの住む家はやんばるの森だけです。

しかし、その限られた住み家を脅かすいくつかの要因により、ヤンバルクイナは絶滅の危機に襲われてしまいます。

絶滅の危機…その最大の理由とは!?

発見された当時は1800羽程いたとされるヤンバルクイナは一時、2005年に700羽ほどに減少してしまいました。

その大きな原因として上げられるのは、1910年にハブやマムシ、ネズミの駆除要因として沖縄南部に放たれたマングースの帰化です。

皮肉なことにマングースは当初期待された働きをすることなく、沖縄の生態系を破壊し、農作物を荒らしながら繁殖を続け2002年には推定3万頭にまで増殖しました。

ヤンバルクイナも捕食すると言われるマングースが、1990年頃にはやんばるにも到達していたのです。

 ヤンバルクイナ の性格も理由のひとつ!?

また、ヤンバルクイナはもともとやんばるの森に天敵があまりいなかったために、とても警戒心が薄いという特徴があります。

警戒心よりも好奇心が勝ってしまうため、あちこち探検しながら食べ物を探すうちに道路に飛び出してしまうのです。

警戒心が薄く好奇心旺盛な性格は無邪気でとっても愛くるしいですが、そのために逃げ遅れて車にひかれてしまうという痛ましい結果に繋がってしまうことが少なくはありません。

そのため沖縄のやんばるエリアでは「ヤンバルクイナに注意!」という黄色い道路標識があちこちに立っています。

夢中になって食べ物を探しに来たヤンバルクイナがいても優しく見守ってあげられるように、やんばるで車を運転する際には、スピードダウンの思いやりを忘れずにいたいですね。

やんばるの森を襲うたった数ミリの脅威!?

かつてやんばるエリアは開発や伐採のために森が失われ、ヤンバルクイナやその他の動物たちの暮らす家が失われてきた過去がありました。

2016年の9月にやんばるが「国立公園」に指定されたことで、人々の間にもやんばるの貴重な自然を守ろうという意識が芽生えてきました。

しかし、やんばるの森を脅かすのは開発や伐採などの目に見えて分かりやすい問題ばかりではありません。

2021年の7月、やんばるが世界遺産に登録されたことで、これから沢山の外国人観光客が訪れると言われています。そこで問題になるのが「種」です。

外国から来た観光客の衣服や靴の裏についた、ほんの数ミリの種がやんばるで芽を出したらどうなるでしょうか?

新しく緑が増えるだけで、特に大きな問題は内容に感じるかもしれません。

ですが、沖縄では現在、外来植物である「ツルヒヨドリ」の大量繁殖が問題となっています。

ツルヒヨドリはもともと南北アメリカ原産の植物ですが、「1分に1マイル広がる草」(1マイルは1.61km)と呼ばれるほど繁殖力の強い植物です。ですが、ツルヒヨドリの恐ろしさはその繁殖力だけではありません。

ツルヒヨドリは他の植物を覆うようにして繁殖するため、光を遮られた植物を枯らしてしまうのです。

やんばるにはこのツルヒヨドリを食べる動物はほぼいないと言われています。

そのため、私たち人間には豊かな緑のように見えていても、動物たちにとっては自分たちの大切な食料を奪うモンスター以外の何物でもありません。

私たちは、大切なやんばるの生態系を守るためにたった数ミリの外来植物の種にも

目を光らせていかなくてはいけないのです。

現在の ヤンバルクイナ の数は?

数々の要因をもってして一時は700羽まで減ってしまったヤンバルクイナ。

2022年の現在は保護・保全活動のかいもあり1500羽にまで増えてきましたが、まだ予断は許されない状況です。

発見時に確認された1800羽まではあともう少しといったところですが、野生動物の数としてはまだまだ不安定な数で、何かのきっかけにまた一気に減少してしまうかもしれません。

絶滅した ヤンバルクイナ の仲間たち

クイナという鳥の特徴として、天敵のいない孤島などでは飛ぶ必要がないため、そのような環境下で繁殖を繰り返すうちに飛べなくなってしまう個体が多い鳥だとも言われています。

そのため島に生息する飛べないクイナは、外来動物などが島に持ち込まれたために捕食対象となりやすく、絶滅の危機にさらされやすいのです。

絶滅したクイナたち

・ハワイクイナ(1893年)/ マミジロクイナ(1924年)
ハワイにはこれまで6種類ほどのクイナが生存していました。
ですが、移住者と共に島にやって来た家畜やペットの猫などに捕食され、現在ハワイのクイナは絶滅したと考えられています。ハワイクイナやマミジロクイナもその中に含まれ、それぞれ1893年と1924年頃に絶滅が確認されました。

・タヒチクイナ(1930年)
標本や写真が残っていないタヒチクイナは人間が島に持ち込んだ猫や豚、ネズミなどにより捕食されて1930年頃には絶滅したと言われています。
背中が黒く、胸元は白色をしていたと言われており、その本当の姿はもう見ることはできません。現在はイラストでその姿が再現されています。

・ウェーククイナ(1945年)
第二次世界大戦の際、ウェーク島で食糧難に瀕した日本兵に捕獲され、1945年頃に絶滅してしまいました。
飛べない上に、赤い布を振ると何故か寄って来たというウェーククイナは捕獲が容易だったようです。

・レイサンクイナ(1944年)
ハワイから他の島に住み家を移すも1944年に絶滅してしまったレイサンクイナ。
約15cmと小さな体で、鳴き声がネズミに似ていることから別名ネズミクイナとも呼ばれていましたが、皮肉なことに名前の由来にもなったネズミに食べられて絶滅してしまいました。

絶滅危惧種 ヤンバルクイナ の保護活動

野生の命を守ると言うことは、その個体のみならず、個を取り巻く多くの生態系が関係しています。

そんな自然の連鎖を断ち切ることなく共存していくために、私たちは自然をよく理解し、守っていかなくてはいけません。

マングースへの対策

1910年、ハブ退治を目的として沖縄に持ち込まれたマングースに捕食され、大きく数を減らすこととなったヤンバルクイナ。

2000年度から沖縄、2001年度には環境省がマングースの捕獲を開始し、2026年度までにマングースの完全排除を目標に活動しています。

保護施設での活動

2010年、国頭村安田にヤンバルクイナの飼育・繁殖施設を設立。

そこでは交通事故でケガをしたヤンバルクイナの保護や、親鳥がいなくなった卵をふ化させるなどの取り組みが行われています。

ヤンバルクイナは警戒心が薄いためにすぐに外敵に捕食されやすい習性があることから、元気のいいヤンバルクイナを捕獲し、カラスや蛇の危険性を学習させてから野生に戻すという活動も行われています。

ネコ条例

ヤンバルクイナの生息地域にあたるやんばる3村(国頭村・大宜味村・東村)では、「ネコの愛護及び管理に関する条例」が制定されています。

これは飼い猫が何らかの理由で野生化することで、ヤンバルクイナを襲うのを防ぐためです。

条例の内容としては、猫を飼う際には村への登録とマイクロチップの埋め込み、必要に応じた避妊手術などが定められています。

ロードキルを減らすために

好奇心が旺盛で警戒心が少ないヤンバルクイナは、食べ物を探して道路に飛び出し、車に轢かれてしまう事故が少なくありません。

そんな悲しいロードキル案件を減らすため、やんばるでは道路まわりにも色々な工夫がされています。

有名なのはヤンバルクイナの飛び出しに注意を促す黄色い道路標識です。沖縄旅行者の間でも沖縄ならではの標識として話題に登ります。

他にも道路の脇には、ヤンバルクイナなどの小動物が飛び出さないようにと「クイナフェンス」が設置され、道路の下にはヤンバルクイナなどの小動物が安全に渡れるようにと造られた「クイナトンネル」があります。

 ヤンバルクイナ をもっと知りたい?

ヤンバルクイナのことをもっと知りたい!と思っていただけたら、ぜひ国頭村安田にある「ヤンバルクイナ生態展示学習施設・クイナの森」を訪れてみてください。

ヤンバルクイナ生態展示学習施設 クイナの森 | 安田くいなふれあい公園(公式) (kuinapark.com)

ヤンバルクイナのはく製や骨格標本などを含めた資料の他にも、間近で生きているヤンバルクイナを観察できるようになっています。

現在はクー太と名づけられたヤンバルクイナが観察ブースで生活しているようです。

遠くて会いに行けない!という方は、ヤンバルクイナ生態学習施設さんの公式Facebookでクー太君の様子などもアップされているので、ぜひチェックしてみてくださいね!


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